輪舞曲-黒と白のcaprice-
…やはり少女はそうか。自分を殺して冷酷に振る舞い身を投じているに過ぎない。殺しなど不似合いな性で、この世界でやっていくには些か繊細すぎる人物のようだ。
『認めさせろって…。逆にじゃあどうすれば、君は俺を認めてくれるの?経歴でも語ればいいの?』
「だからあたしに質問するなって言ってるでしょ。自分で考えなよ。大体あなたの過去には何の興味もない、あたしが知りたいのはただひとつ、あなたの肉体の行方よ。死に損ないの亡霊さん。」
苛つきを隠さず、とうとう不機嫌を態度に表し始めた少女。煙草の本数を増やしながらそれを健気に、多少なりとも動揺している事を俺に気付かれんようにと精一杯誤魔化している。
俺を窮地に追い込んだ張本人、従来であればこの憎き相手を千載一遇の機会として報復を企てる事だろう。けれど今はそのような行動を起こそうなどと何故か微塵にも思えない。短すぎる会話の中で、俺はあるひとつの感情を芽生え始めていたからだ。
『(…面白いな。もう少しこの“ユリア”という暗殺者の行く末を見てみたいものだ。)』
そんな、霰もない興味がいつの間にか引き出されていた。