輪舞曲-黒と白のcaprice-
sideY



来客と共に訪れたそれは、張りつめられた糸に意思の見えない掠れ掠れに見え隠れする黒いもの。
だからこそすぐに気付けたのだろう。アサギとはまた違う気配に。この部屋に、あいつ以外の気配を感じたと言っても態とらしく気配を断とうとしていたときから感じていた違和感に似た感触の悪い悪寒とちぐはぐ感。


軽快さと警戒さ。

それを兼ね備えた、背筋も凍るような圧倒的強さを持つ男は世界中探してもきっとボス以外には存在はしないだろう。悪寒を振り払うかのように、先手必勝と云わんばかりに攻撃を仕掛けるも不発で終わり、相も変わらぬ“笑顔”を浮かべていた。そして、今しがた話した虚偽の報告だって実の所見透かされているに違いない。

「(…でなければあたしが群れの傘下になんかついて動くわけないし。まあそれだけじゃないけど。)」

あたしの思惑など知ってか知らずか、変わらないあっけらかんとした乾いた笑い声を出しながら吐いた言葉。

「…そう。さすがだねー。正直、ユリアちゃんにはちょっと無理難題だったかなぁって不安だったけど任せて良かったよ。
それに夜の統治者を相手にしてその程度の怪我なら安いもんだね。」

「どういう意味よそれ」
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