輪舞曲-黒と白のcaprice-

「ん?ユリアちゃんどしたの、腹減った?」

「…別に。考え事してただけ。第一それはコウくんでしょ、お腹減ったんなら下の食堂にでも行きなよ。不味いだろうけど」

話を反らす為に、適当に言葉を発し辺りを見渡す。
穏やかな春の風がすぅと通り抜ける。

「不味いんなら薦めんなよ、それにランチは綺麗な御姉様と。って事で先約があるもんでね」

「はあー…。相変わらずだね、女癖悪いの。いつか刺されても知らないよ」

「大丈夫、大丈夫。みんな俺の事大好きだから。自ら嫌われるような真似はしないっての」

風が教える、気付いた違和感と矛盾。
例えるなら在るべきピースが足りないような。

「どこからそんな根拠が…。ってあれ?そういえば…今日はセリカ、いないの?」

通常であればコウくんの傍から絶対離れぬ人間が一人、見当たらない。それは、とてつもなく可笑しい話だ。御付きなしでこのような人通りが多い場所に易々とボスが出向くなんてあり得ないからだ。何よりあの子はボスに絶対忠誠なのだ。

「うん、今日はお留守番をさせてんだよ。」

「へー…、一人で出掛けるなんて珍しいね。大丈夫なの?」
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