輪舞曲-黒と白のcaprice-
『そう。19世紀の英国は倫敦で横行し、未だ未解決のままになっている伝説の猟奇殺人鬼、“ジャック・ザ・リッパー”と同等なる血と狂気の連続殺人事件。』
これもまた愉快そうにアサギはにこりと優雅な微笑みを忘れない。
「連続殺人…事件」
『あくまで噂レベルだけど…。この街に、闇を纏いしヴァンパイアが芽吹きうら若き乙女の血潮を求め夜な夜な現れるらしい。』
変わらず暖かな陽光とさらさらとした柔らかい風があたしの前にふわりと通り抜ける。
それと同じように、今しがたアサギが放った言葉も宙に舞いふわりと消える。
「ヴァ、ヴァンパイアって…。アサギよく聞きなよ」
思わず溜息が出てしまう。けれど、あたしの呆れたような瞳を見てもアサギの様子は一切変わらない。それどころか何やら楽しげに口角をあげニコニコし始めていた。
『ん?どうしたの、ユリア』
「どうしたもこうしたもあるか!期待してたわけじゃないけど、いま酷くあんたに失望したわ。何故ならば!あたしはアサギのことを現実主義者とばかり思ってたのに、物好きなただの空想マニアだったとはね!」
『そりゃ過大評価をどうも』