輪舞曲-黒と白のcaprice-
アサギは変わらない微笑みを一切崩さずに憎まれ口をひとつ。更にあたしの神経は逆なでされる。第一あたしは自分の見たものしか信じられない性質なのだ。

「第一物語なら面白いと思うわ確かに。けどありえるわけないじゃん!」

悪魔だの亡霊だの、それこそヴァンパイアなど伝記上の言い伝え、空想に違いない。そしてそんなものを信じるような人間もあたしは虫酸が走るほど毛嫌いしている。
この男、アサギは少なくとも此方側の人間であるのならばそんな戯言など無碍にすると思っていたというのに。空想を語るには酷い現実ばかり見せつけられ、そんな話など信じること、それこそ夢物語のようなのだから。

『君の言いたいことはわかるよ。でもこれを見て』

指を指す方に視線を向ける、実体のないアサギはそれを持つことなど出来る筈もないそれなのに何処から手に入れてきたのだろう。サイドボードに今日付の真新しい新聞紙がデカデカと鎮座していた。
湧いた疑問はさておき、読む気も起きないものを勧められ不平不満、苦言を呈する。

「なんでこんな時に新聞なんかを読まなきゃなんないのよ」

『まあまあそう言わずに』
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