輪舞曲-黒と白のcaprice-
『こちらの記者のセンスはいいね。意外と俺は好きだよ。この黒衣の狩人とか。』

「寝言は寝て言え!しかもなにこの事件。馬鹿馬鹿しい。女が暴漢に襲われてるのはわかるけど、犯人がなんでヴァンパイアなのよ」

読み進めていくうちに生まれる呆れにも似た脱力感。内容はまるで空想科学小説もしくは映画のあらすじを彷彿させるものであるからだ。そこにはまるで現実味などありはしない。

『事実は小説よりも奇なり。なんて言うじゃない?それに空想小説に当て嵌めてそこはオブラートに包んでいるだけであって実際の事件はそう思い込みたくなる程凄惨なものらしいよ』

否定論ばかり吐くあたしに少しばかり諭すような口調でやんわり存在を肯定するかのような様子のアサギ。

「らしいよ…ってアサギ、何か知ってるの?」

『ナースたちの話を聞いて少しばかり興味を持ってね、ついさっきまで行ってきたんだよ。まあユリアが眠っていたというのもあったし、多少の暇つぶしも兼ねて。』

…一体こいつは何をしているのやら。思わず髪をかきあげ頭を抱える。

「馬鹿じゃないの!?そんな事をしてる暇あるなら、自分の実体でも捜しに行きなさいよ!」
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