クールな御曹司と愛され新妻契約
彼の熱い唇は首筋や鎖骨へ伝い、唇を割って深く舌を絡め取る。

角度を変えて次第に激しくなるキスに、火照った私の体はどこもかしこもとろけて、終いにはベッドにくたりと沈み込んでしまった。

「キスだけでこんな顔をするなんて。俺の奥様はよほど初心みたいだ」

熱を帯びた瞳を細めた微笑みに、両手を伸ばして溺れてしまいしそうになる。

けれどなけなしの理性を総動員して、甘くなりそうな荒い吐息で上下する胸で整えていた。

常であれば、深いキスをしていっぱいいっぱいになった私を、千景さんは優しく介抱してくれるのだが、今夜の千景さんはどこか違う。

彼は汗ばんで額に張り付いた長めの前髪を搔き上げると、私の上に覆いかぶさったまま、焦燥に駆られたように眉を寄せる。

「どうすれば、あなたは俺を本当の夫として選んでくれますか? 俺は――あなたが欲しい」

暗がりの中、切ない声音で吐き出され、心臓がぎゅっと掴まれた。

ベッドの上でそんなことを言われて、意味が、わからない……わけでは、ない。
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