クールな御曹司と愛され新妻契約
簡易のシミ抜きでは赤い色が完全に抜けるわけではなかったが、他人の目に晒されてもおかしくない程度にはなったので、帰宅することはできそうだ。

あとはクリーニングに出して、綺麗に取れるかどうか……。
途方に暮れながら、ドレスの胸元に目を落とす。

……もしかしたら、もう、取れないかもしれない。
とっても大事な洋服なのに、まさか、こんなことになってしまうなんて。

悲しみのあまり、内心しょんぼりしながら、ドレスが含んでいた水分を乾いたナプキンへ移すようにして、外を歩けるようにドレス全体を乾かした。


結局、私がパウダールームから出られるようになるまで、実友さんは手伝ってくれた。

「本当にありがとうございました。あの場で実友さんから声をかけていただけて、心強かったです。最後まで手伝ってもらってしまって、大変申し訳ありませんでした。お世話になりました」

「いえいえ、丁度私があの場にいて良かったです。よければそちらのソファでお待ち下さい。会場内で副社長を捕まえて、戻って参りますので」

「そこまでしていただくわけにはっ。この姿では会場へ戻ることも出来そうにないので、私はこのまま、一足先にタクシーで帰ろう思います」

ホテルのロビーに出てから実友さんへお礼の言葉を告げて、頭を下げる。
< 130 / 192 >

この作品をシェア

pagetop