クールな御曹司と愛され新妻契約
しかし熱を帯びた青い瞳にジッと見つめられただけで、ドキドキと高鳴る私の胸には、淡い期待が広がっていく。

「ん?」

ゆっくりと彼の鼻梁が私の首筋を撫でるように動き、焦らすように唇が耳朶に触れる。

熱く柔らかな舌先が耳元に這わされ、とろけるほど甘美な刺激に頭が真っ白になった。

「あっ、や、やめっ」

受け止められないほどの甘い疼きで体中の力が抜けていく。

「あなたが許可をくれないと、このままここをイジメることになりますが」

「……じゃあ、キスっ、だけ……っ」

答えた途端、彼の指先が私の顎を掴み、強引に深く口付けられる。


彼から与えられる時間はすべて甘すぎて、胸が張り裂けそうなほど苦しい。

けれども、『彼の運命の人は私じゃない』と正しく理解している理性を押さえつけるように、本能が彼を欲している。



……今だけ。これで、最後だから。


縋るように自分へ言い聞かせつつ、密やかに彼の黒髪に手を伸ばした。


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