クールな御曹司と愛され新妻契約
……こんな状況の中、千景さんを待つことなんてできない。

私はぐにゃぐにゃに歪んだ視界の中で、ペンを取る。

【冷泉千景さま。たくさんご迷惑をお掛けしてしまって、ごめんなさい。今まで助けてくださって、本当にありがとうございました。千景さんと過ごした一ヶ月間は、夢のような日々でした。
千景さんの幸せをこれからも祈っています。三並麗】

嗚咽が時折漏れる中、震える手で手紙を書きつけた。


そして、名前が滲んでもう提出することは出来なくなった婚姻届や指輪と一緒に、ダイニングテーブルの上に置く。

千景さん、実友さん。
私のせいで、本当にごめんなさい。

本来なら直接すべき謝罪だと、重々承知している。でも、それは……またの機会に改めてさせてほしい。



だって、もう、どうしたらいいのかわからない……っ!


ここへ来た時のように、ゲストルームに置かれっぱなしだったスーツケースへ自分の荷物をぐちゃぐちゃに詰め込んで、私は逃げるように千景さんの家を出た。

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