クールな御曹司と愛され新妻契約
私の頭を撫でながら寛容な態度で許してくれる彼に、私はますますミスを犯した恥ずかしさが増してしまい、「絶対に、今後はないようにします」ともじもじしながら小さく肩を竦めた。

彼はロングノーズの革靴を履き終えると、こちらを向きなおす。

「では、麗さん。行ってきます」

そう言って軽く私を抱きしめてから、唇に触れるだけの優しいキスをする。

「行ってらっしゃい。お気をつけて」

触れ合った瞬間に千景さんの優しい香りに包まれて、私はむずむずするような幸福感に悶えながら、千景さんがフローリングの上に一旦置いていたビジネスバッグを手渡すと、小さく手を振りながら玄関から送り出した。


「……どうして毎日あんなに甘いの――っ」

彼を見送った私は、ときめきでいっぱいだった胸から深く息を吐いてから、火照った頬を両手て冷やす。

千景さんと私の契約結婚生活は目紛しい日常と共に五日目へ突入した。

けれども、毎朝お砂糖たっぷりの甘やかな会話から始まり、彼から〝行ってきますのハグとキス〟を贈られる日々には未だ慣れない。
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