クールな御曹司と愛され新妻契約
「千景さん、そんなに大掛かりな結婚式をやるんですか!?」

「ええ。お色直しは最低三回、これは俺が譲れません。素敵な麗さんを何度だって見たいですからね」

まるで幸せな結婚をした夫のように、家族の前でそんなことを言われて私は首まで赤面する。

契約結婚をカモフラージュするために行われる〝まやかし〟のウェディングだとしても、タキシード姿の千景さんの隣に私がウェディングドレスを着て並ぶことができるなんて……。

こんなに幸せなことがあってもいいのだろうか。

彼との時間は最初から全部〝まやかし〟の出来事で、密やかに恋い慕う彼から〝本当に愛される〟なんて、私の人生ではあり得はしないのに。

本来ならば千景さんが夫として振舞わなくていいはずの場所でも、まるでそれが普通のように毎日惜しみない愛情を注がれている……と、錯覚してしまうほど甘い甘い新婚生活に、私はただただ戸惑うばかりだった。



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