クールな御曹司と愛され新妻契約
なにかを期待している青い双眸は、心の中見透かしているようにしか見えない。
そのせいでまた、ぶわりと頬が熱くなる。

ここで『いいえ』と嘘を吐けば、逆に千景さんに恋愛感情を抱いていることを認めるようなものかもしれない。
だってあんなに慌てておいて、『ドキドキなんかしていません』と答えるのは、あまりにも不自然だ。

こういう時こそ、ドラマのヒロインだったら咄嗟に嘘を吐いてしまい、そのせいで相手に恋心がバレてしまう場面。それならば、わざわざ隠さない方がいい。

「……ドキドキ、しました」

だから羞恥心に焦がれながらも、私は観念して素直に白状することにした。

「へえ? ドキドキしたんですか。具体的にはどの辺に?」

「えっ」

千景さんが悪い笑みを浮かべる。
追撃されるとは思わず、私は椅子の上でビックリした猫のように背筋を伸ばす。

ぐ、具体的に? 具体的にってどういう意味?

いつの間にか、やっぱり私が恋愛トラブルを起こす危険性がないか取り調べでも始まったの!?

どう答えれば、彼に不快感を与えないだろうか。
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