クールな御曹司と愛され新妻契約
なので、申し込みをする前に一応許可をもらわねば、と思って伺うと、目の前の彼は虚を衝かれたような顔をした。
意外な表情だったので首を傾げると、彼は片手で自身の顔を覆って「それなんですが、もう少し待ってもらえませんか?」と奥歯に物が挟まったかのような言い方で私へ待ったをかける。
「えっ? どうしてですか?」
「その……印鑑は認印も含めて俺が申し込みをしたいので。名義変更手続き等の件はもう暫く時間をください」
彼の言葉を聞いて、以前ハウスキーピングでお伺いしていた壮麗な庭園が広がる日本家屋に住まれている年配のご夫婦が、何かの契約書に大層立派な象牙の印鑑で押印しながら、
『印鑑の素材と書体にもこだわるけれど、彫っていただく日も暦を調べて吉日を選んだの』
と話してくれたのを思い出す。
もしかしたら『冷泉家の印鑑はここでしか作らない』みたいな、名家ならではのこだわりがあるのかもしれない。
それならば、冷泉家のしきたりに従うまでだ。
意外な表情だったので首を傾げると、彼は片手で自身の顔を覆って「それなんですが、もう少し待ってもらえませんか?」と奥歯に物が挟まったかのような言い方で私へ待ったをかける。
「えっ? どうしてですか?」
「その……印鑑は認印も含めて俺が申し込みをしたいので。名義変更手続き等の件はもう暫く時間をください」
彼の言葉を聞いて、以前ハウスキーピングでお伺いしていた壮麗な庭園が広がる日本家屋に住まれている年配のご夫婦が、何かの契約書に大層立派な象牙の印鑑で押印しながら、
『印鑑の素材と書体にもこだわるけれど、彫っていただく日も暦を調べて吉日を選んだの』
と話してくれたのを思い出す。
もしかしたら『冷泉家の印鑑はここでしか作らない』みたいな、名家ならではのこだわりがあるのかもしれない。
それならば、冷泉家のしきたりに従うまでだ。