無自覚片思いの相手は策士な肉食系でした
「あの、どうしました?」

「いえ、あの、本当に岩沢さんと朝陽が付き合ってるんだなぁって嬉しくて」

そう言ってはにかんで笑う陽菜はすごく可愛くて、変装しててこれなら本当の姿だとどれくらい可愛いのだろうかと思ったり、朝陽が周りの男性を警戒していたのもわかる気がした。

「陽菜さん、私のことは真未でいいですよ。
敬語も使わなくていいです」

「えっ!いえ、そんな……」

「いいんじゃない?真未もそう言ってるし、結婚したら“岩沢さん”じゃなくなるんだし」

「結婚!?」

パンケーキとコーヒーを乗せたトレイを運んできた朝陽は真未の隣に座るとまた結婚と言う単語を出して陽菜を驚かせていた。

「え、朝陽結婚するの!?相手は岩……えっと、真未、ちゃん?」

興奮してまた岩沢と言いかけた陽菜は途中で気づき恐る恐ると言った感じで真未と名前に言い変えた。
その様子が本当に小動物のようで可愛くて、はい。と返事したらパッと明るい顔をして笑った。

「うわぁ!真未ちゃんが朝陽と結婚してくれるなんて嬉しい!」

「え!?いえ、その返事じゃ……」

「朝陽、絶対真未ちゃん離したらダメだからね?」

「もちろん、そのつもりだけどね」

ちょっと待って!と言っているのに二人の会話は止まることはなく、分かっていて陽菜に誤解させたままでいる朝陽に誤解したままはしゃぐ陽菜、形は違えど人の話を聞かず突っ走ってしまうところはこの姉弟共通なのかもしれないと真未は頭を押さえてしまった。
< 116 / 189 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop