無自覚片思いの相手は策士な肉食系でした
「えっと、折角こんなに高いのを買っても私、仕事でそんなに着けないかもしれないし、朝陽も……男の人もそんなに着けないって聞くし……」

焦りに焦って弁明するも徐々に声は小さく、顔も下に下がっていった。
驚いている朝陽の顔を見るのが居たたまれなくなったからなのだけれど、完全に俯くと頭上で小さく朝陽が息をついたのが聞こえた。

「すみません、家でゆっくり考えたいのでいくつかカタログ貰っていいですか?」

朝陽の言葉に店員は即座にたくさんある指輪の中でも人気があっておすすめだと言うものを何冊か紙袋にいれて渡してくれた。
それを受け取ると朝陽は手を掴んで、行くよ。と短く言って足早に店を後にした。

家に帰りつくまでお互いずっと無言で、怒らせてしまったのかもと内心焦るが顔を上げることも出来ずにひたすら下を向いていた。
らしくない。こんな自分、自分じゃないみたいだと、いつも何かあればハッキリと言葉にしてきたのに、もやもやが広がって上手く言葉に出来ない。

手を引かれいつの間にか家にたどり着くとリビングに入った瞬間に朝陽に抱き抱えられた。

「あ、朝陽?」

朝陽は何も答えず真っ直ぐ自室に入ると、二人で寝れるようにと選んだ少し大きめのベッドに真未を横たわらせてすぐに朝陽もその横に滑り込むように横になった。
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