無自覚片思いの相手は策士な肉食系でした
目が覚めたら夜中だった。
部屋も外も真っ暗で背中には腕が回され抱き締められているようだった。

ずっとこの体勢だったのかしら?と真未は離れようと身動ぎすると、回されていた腕がギュッと抱き締める力を強めた。

「……朝陽、起きてる?」

「寝てる」

「起きてるじゃない」

即答しておいてなにが“寝てる”だと真未は眉を潜めるが、朝陽は目を瞑って真未を抱き締めたまま離そうとはしなかった。

「悪い狼は冬眠中だから寝てる」

「狼は冬眠しませんよー?」

くすくす笑うと朝陽がそっと片目だけを開けてまた閉じた。
何だろう?と思っていたら小さく、本当に小さく朝陽が話し出した。

「悪い狼は結婚式が終わって入籍するまでは無理矢理眠ってんの」

「無理矢理……?」

「約束したからさ、真未のお父さんと」

「お父さんと?」

首を傾げて話の続きを促すと、朝陽は少しずつ話した。
プロポーズする前に両親に人知れず何度も会いに行っていたことは聞いていたけれど、そこで交わされた約束については初めて聞いた。

父親が結婚を許すに為に出した条件が、絶対に浮気しないこと、真未を幸せにすること、そして入籍するまで操を守ることだったそうだ。
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