過去の精算
きっと何か勘違いしてるのだろう。
彼は小さい頃から、この前谷家の息子で、間違いなく私の同級生だ。
同級生からも慕われ、人気者だった。
院長先生だって、参観日には必ず学校へ顔出していたし、私もそれを見て、羨ましいと思ったくらいだ。
彼もまた、父親である院長先生を尊敬していたし、父親の様な医師になると志していた。
それとも…
やっぱり私達の事を反対して、私を困らせる為に、ありもしない事を言い出したのだろうか?
「あの…何か勘違いされてるのでは?」
「いいえ、間違いないのよ?
あなたが主人の実子で、この病院、前谷家の跡取りなの。
戸籍上は和臣が実子になってるし、和臣が受け継いで、なんの問題も無いはずなんだけど、主人がそれを許さないのよ?
病院も家も、財産全てをあなたに譲っるて、言い張るのよ?」
そんな…
だって院長先生は、私の父の古い友人で…
じゃ…あれは全て嘘だったの…?
私に親切にしてくれたのは…
母と私を捨てた罪滅ぼしだったって訳…?