過去の精算
ママが言う様に、病院を辞めれば彼を忘れられるとは思わないけど、きっと諦めはつくと思った。
え? 諦める? 私が?
違う!
もう好きじゃ無い!
あんな酷い事されたのよ?
私は憎んでるのよ彼を!
ただ、初めて好きになった人だったから…
あの優しい言葉も、仕草も…
彼の行動全てが、愛情からでなく、憎しみと同情からだったなんて…
哀しくてどうにかなりそう…
一層この世から消えてしまいたいくらい。
枯れた筈の涙が溢れてくる。
何度泣いても…溢れてくる。
枯れる事を知らない涙の泉。
お母さん…
どうして教えてくれなかっての?
どうして、私を産んだの?
生まれて来なければ、こんなに辛い想いしなかったのに…
ママの置いていってくれたワインは、少し塩味のするワインだった。
(ごめんなぁ…)