過去の精算

「日本に帰って来て、君が医師なってなかった事に驚いたし、君は俺との約束を忘れたのかと悔しかった…それであんな酷い事もして…ごめん。
でも…違った。
君から親父を奪っただけじゃなく、君の夢までも奪ったのは俺だった。
もうこれ以上…君からなにも奪いたく無かった。
どんな事しても、親父と君のお母さんが守った病院を君に継いで欲しいかった。
例え俺を憎んだとしても…」

じゃ、初めから、あの人の計画には乗るつもり無かったの…?
愛してるって言った言葉は…本物だった…?

「本当に…」

「信じて欲しいとは言わない…
実際、君からは沢山の物を奪ってるから…
ただ、親父の話だけは聞いて欲しい」

私が分かったと言うと、彼はホッとしたのか、
“ 良かった ” と言って、安堵の顔を見せた。
そして、院長はゆっくり話し始めた。




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