過去の精算

「あなたは、世界で認められた医者なんでしょ!?
自分の父親くらい、自分で助けなさいよ!
万が一の事があっても、この人だって自分の息子なら諦めもつくでしょ?
でも、失敗したら…私は医療ミスで訴えてやる!だから、絶対成功させて!」

「未琴…」

「勿論、記憶障害なんて残さ無いで!
私はまだ、この人に言いたい事も聞きたい事も山の様になるの!
あなたは、自分の息子を信用出来ない? 命預けられ無い?」

院長にそう聞くと、院長は嬉しそうに首を振った。

「是非、私の自慢の息子に執刀して欲しい」と院長は言った。
それを聞いた彼は、院長の言葉に感極まって涙を流し、有難うと言った。

「それから手術が成功しても、私の心に深い傷をつけた事には間違い無いんだから、一生かけて治して貰うわ!
もし、逃げたら医療過誤として訴えてやる!
医療過誤起こした医者を雇ってくれる病院なんて日本中のどこ探しても無いんだから、逃げても無駄よ!
もし、海外へ逃げても、私は貴方を追いかけて行くから、覚悟しなさい!」

私のとんでもない言葉に、ママは、とんでもない女に引っかかったわねと彼を大笑いし、院長は、母親にそっくりだと私を笑った。




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