過去の精算

驚いてる間も無く、彼は助手席のシートを倒した。

(ガックン)

「キャッ!」

「車の中じゃ狭いけど、良いよな?」

なにが良いの?
何も良くない!

私からショーツを剥ぎ取ると、覆い被さり、自分の下腹部の硬いモノを押し当ててきた。

「嫌っ!」
恐怖に体は震え、涙が溢れてくる。

「なんで泣く?」

「どうしてこんな事するの!?」

「昨夜邪魔されたし、あんただって拒む理由ないだろ?」

拒む理由ならある!
「ある! 有るわよ!
初めては…好きになった人って…」決めてた。

この歳になって迄、こんな事思ってるなんて笑われるかもしれないけど、嫌なものは嫌なの!
あの頃の彼なら…
きっと、私も受け入れてたと思うけど…
今の前谷君はただのケダモノ!
こんなケダモノに、無理やり奪われるなんて嫌!

「えっ? うそだろ?
まさか…初めてなのか…?」

「そうよ! 悪い⁉︎
あんたなんか…あんたなんかに…」

「ちっ!
興が削がれた…やめた!」

彼はそう言うと、着ていた自分の上着を私へ掛け、車を走らせた。
彼は家まで送ると言ったが、同じ空間にいるのが耐えられず、車が信号で止まった時、飛び降りるようにして、私は車から降りた。

「おっおい!」

降りる際、ガードレールにぶつかり、足首を痛めたが、立ち止まる事はせず、私はそのまま近くの細い路地へと逃げ入った。

なんで⁉︎
なんでよ!
私になんの恨みがあるの!?
なんで私に…
恐怖と思い出を汚された悔しさに、再び涙が溢れてきた。

暫く、路地の奥で座り込んでいたが、もしかしたら、彼が探しに来るかもしれない。
そう思うと、いつ迄もその場に居られなくて、通りに出てタクシーを拾って自宅へと帰った。




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