過去の精算
通用口までの間、幾多もの視線を感じ、今迄一度も喋ったことのない、男性医師や看護師から声がかかり、仕事する前から私は疲労完敗だった。
見た目が少し変わっただけで、人はこうも態度が変わるものだと認識させられた。
更衣室では、女性陣からの質問攻めに合い、どう答えれば良いのか返事に困っていた。
そんな中、同じ事務員の中でも、比較的好意を示してくれてる澤さんが、助け舟を出してくれたのだ。
「そんなに質問されても困りますよね?
たかが外見を少し変えたくらいで?
まるで、人を食らう鬼を見つけ攻め立ててるみたい。
皆さん、もう少し落ち着いたらどうですか?
彼女は、外見を変えたからと言って、内面も変える人じゃない出すよ?」
澤さんの言葉に納得したのか、質問攻めしていた者達は、私から離れていった。
「澤さん有難う。助かったわ」
「いいえ。思った事を言っただけですから、それより、ホント別人の様に変わりましたね?
何か気持ちの変化でもあったんですか?」
「ううん。そうじゃ無いの…」
「あっごめんなさい。
私、言ってる事とやってる事違いましたよね?
もう何も聞きませんので、早く仕事につきましょ?」
「うん。有難う」
私達は更衣室を出ると、自分達の持ち場へと向かった。