過去の精算

仕事が終わり通用口を出ると、前田先生が待っていた。

「お疲れ様!」

「あっお疲れ様です」

「何が好き?」

「え?」

「君の食生活について、君と一度も話した事ないから」

「食生活ですか?…ウフフ」

まさか、食生活などと聞かれるとは思ってもなかったから、思わず私は笑ってしまっていた。

「やっぱり君の笑顔好きだな」

「え? …あ、有難うございます」

「で、何を食べに行こうか?」

「えっと…」

断りの返事をしようとしたその時、私の携帯がメール着信を知らせた。
鞄から取り出し確認すると、ただ一文だけのメールだった。

『予定変更なし!』

送り主の名は無いが、前谷君彼だというのは分かる。

分かってますよ!
私に、拒否権ない事くらい!

「前田先生、せっかくのお誘いなんですが、今日は外せない用がありまして…」

「そう…やっぱり彼氏とデート?」

「違います!」

「じゃ、明日は?」

「明日も…ごめんなさい。
暫くは予定が入っていて…
でも、彼氏とかそう言った類のモノとは全然違うので!」

「分かった。じゃ、予定がつく様になったら、教えて?
その時、また改めて誘うよ?」

「すいません…」

前田先生へおことわりをすると、私は自宅アパートへと急いだ。

メールをよこしたという事は、既に、手術は終わってるという事だし、他の入院患者への回診をしたとしても、そんなに遅くならない筈。

さっさと食事させて、帰って貰おう!




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