過去の精算
「私がいつ、勘違いした?
私がいつ着飾って喜んだ!?
あんたが全部した事じゃない!」
洋服ダンスから洋服を取り出し、私は彼へと、それらを投げつけた。
「全部持って帰って!
お金なら心配しなくても、ちゃんと返す!」
「お、おい!」
「早く、帰って!!
二度とここに来ないで!
もう、私に関わらないで!!」
私は彼を洋服と共に部屋から追い出すと、鍵を閉めた。
「おい!開けろ!」
ドンドンとドアを叩く彼に、“ 煩い!警察呼ぶわよ!” と言って、部屋の奥へとこもった。
この髪もどうにかしたい…
なんで、私がこんな目に合わなきゃいけないの!
溢れる涙を何度も手で拭い、何もかもが枯れるまで動けずにいた。
翌日は、熱が出たと仮病を使い、仕事は休んでしまった。
仮病使ったなんて、生まれて初めて…
あぁ本当に頭痛くなって来た。
昨夜泣きすぎたせいかなぁ…
目もなんだか重たいし…
鏡を見れば、酷い顔していた。
こんな顔見たの、お母さんが死んだ時以来かなぁ…
もともと美人じゃ無いけど、これは酷すぎるわ…
仕事休んで正解だったかも?
でもこの顔なんとかしないとね…
昨夜作ったカレーを温め直し、一味唐辛子と、コショウをたっぷり入れ、汗をかきながら一人寂しく食べ、そしてお風呂に入って汗をかきながら、顔を氷で冷やした。
多少はマシになったかなぁ?
着替えを済ませると、美容室へと出かけた。
「今日はどうされますか?」
「黒く染めて、短くしたいんですけど?」
「あの… 最近染められたばかりですよね?」
「ええ」
「良く似合っていらっしゃるのに…
お仕事か何かで?」
「ええ、まぁそんなところです」
「長さはどの位切られますか?」
「出来るだけ短く」
「長い方が素敵なのに…ショートカットに?」
「いえ、ベリーショートに」
「ベリーショート…?」
「2、3センチのベリーショートに、してください」
美容師は、鏡越しに訝しげな眼差し向け、何度も確認し、私の髪にハサミを入れた。