過去の精算

謹慎の為、暇になってしまった私は、朝から隣町へと出かけていった。
本屋に寄ったり、洋服をみたり、ブラブラと目的も無くただ時間を潰していた。

「本当に大丈夫?」

「はい」

「じゃ、今日からお願いするわ?
分からないことは、この舞ちゃんに聞いて?」

「はい。宜しくお願いします」

「流石にその髪型はいただけないわね?
みんなが来る前になんとかしないと…」

チーママの舞さんに色々教えて貰いながら、ウィッグとドレスを借り支度をしていると、女の子達が出勤して来た。

「あれ、新しい人?」
人懐っこそうな女の子が、珍しそうに寄ってきた。

「ワタシ、朱里宜しく!
ねぇー、私達どっかで会ったことない?

「…さぁ?」

「絶対、どっかて会った事あるんだよね…?
どこだったかな…?
ねぇ、あなたどの辺に住んでる?」

「朱里ちゃん!
他人(ひと)の事は詮索しない約束でしょ?」

「そうなんだけどさぁ、気になるんだもん!
ねぇ、前はどこの店に居たの?」

「朱里ちゃん!」

「はいはい、わかりました!
もう何も聞きません!」

再三の舞さんの言葉で、やっと、朱里さんは詮索する事を諦めてくれた。
そして朱里さんは、“ ごめんね? ” と謝ってくれた。

「あの…」

「大丈夫。もう何も聞かないし、何も詮索しない!
ねぇ、ここの店の名前、【ライオン】って変わってるって思わない?
なんでか知ってる?」

首を振る私に、朱里さんは教えてくれた。

「ライオンってね?
雌が狩をして、雄に餌を運ぶんだって?」

「え? そうなんですか?」

「私も聞いた時はびっくりしたけど、本来はそうらしいよ?
こういった店で働く女ってさ、男に貢ぐか家族を養うためって人が多いじゃん?
現に、ここで働いてる子はシングルママも多いのよ舞さんみたいに?
私は、ホストの彼のためだけど?
でも、ママが付けた本来の理由は、男に頼らず強く生きて行く女の象徴みたいだからだって?」

「そうなんだ…」
強く生きていく女の象徴…か?




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