過去の精算

今朝、前田先生が残ってる荷物を取りに来た時、前谷君は放射線科へ乗り込み、前田先生を殴った。と、放射線科の人から聞いたと澤さんは教えてくれた。

もぅ何やってるのよ!
馬鹿じゃないの!

「あっ木村さん!」

澤さんの呼び止めに、“ ごめん! ” とだけ答え、急いで院長室の隣の、前谷君の部屋まで走っていった。
そしてノックする事も忘れ、勢いのまま私はドアを開けた。

(バン!)
「っ!? あゝ君か?
謹慎明けたそうだな?」

私の姿を見て、彼は驚くと同時に右手をデスクの下へと下ろした。

やっぱり…

私はそのまま踵を返して、地下の売店へと向かった。そして氷を一袋買うと、再び前谷君の元へと急ぎ戻った。

(バン!)

「っ!?」

「右手出して!」

「ナニ? さっきからバタバタ出たり入ったり?
ノックくらいして欲しいもんだね?」

白衣のポケットに右手を入れたまま、彼は私へと近づいてくる。

「もしかして、俺の女になりたくなった?」と、左手で、私の頬に触れた。

「巫山戯た事言ってないで!
早く!」

一向に見せる様子のない彼の右手を、私は白衣の上から握った。




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