過去の精算

「ねぇ、飲まないなら帰れば?」
お酒飲まないのに、なんでいつまでもいるの?
早く帰れば良いのに?
明日も仕事なんだし…

勿論、私も通常通り仕事だ。

「俺の代わりに皆んなが飲んでる?
それに、俺が飲まなくても、金さえ出せば君の売り上げになるだろ?」

事務長は私のお客さんで、その事務長が連れて来た彼も私のお客さんになる。多分…
だから、前谷君が飲もうが飲むまいが、彼が頼んだだけ私の売り上げになる。

でも…
このお金の使い方は、気に入らない!
いくらお金持ってるからって…
何を考えてるの?
服の時と言い、何がしたいのか分かんない!
もう勝手にすれば良いわ!

私は彼から離れて、カウンターに一人座っていた。すると、私の代わりにママが彼の隣に座った途端、二人は内緒話を始めた。

なんなのあれ!?
何話してるのよ!?

二人はチラチラと私を見ながら、コソコソと二人は耳打ちしていた。

あー頭くる!
ホント気分悪いったらありゃしない!

「ママ、私ワイン開けるから!」

勝手に出して来たいつもの安ワインを開けようとすると、ママにダメだと止められてしまった。

なんで?
いつもなら良いって言うのに…

勿論、お客さんが(お金)出してくれなければ、給料から天引きになる。
普段なら絶対しないけど、今夜は飲みたい気分なのだ。

「飲むなら、これ飲んで?」

ママが出して来たものは、シャトー・ル・パン

「ママ、これ…」

「うん。100万よ?」

「100万!?」

「ビンテージだから?」

ビンテージだかなんだか知らないけど…
100万なんて無理!
払えない。
何しに働きに来てるか、分かんなくなる。

「ママ、こんなの無理!」

「あら、売り上げのためよ?
あっ、チーズの盛り合わせも出してあげる!」

売り上げのためって…今日は十分あるでしょう?
200万のボトル出たんだから?
チーズの盛り合わせだって、絶対サービスじゃ無いよね?
私からぼったくらないでよ…?

「ママキャンセル!」

「あらやだ、もう、栓ぬいちゃった!」

ママ…




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