過去の精算
「じゃ、帰ろうか?」
「え?」
「俺の借金も無くなったし、残りの金で院長にも返せるだろ?
もう、これで働く必要なくなったろ?」
そうだけど…
「急には辞めれない…
お店の方だって困るだろうし…?」
ママの方を見ると、ママは微笑んで首を振る。
「困らないわよ?
もう、次の人が明日から来る事になってるから?貴女は自分の世界へ彼と戻りなさい?」
自分の世界…?
彼の方を見れば、優しく頷いてくれる。
「何時迄も、あなたはこんな所に居る人じゃない。
彼にもあまり心配させない方が良いわ?」
え?
「毎日、キャサリンちゃんの売り上げに、協力しに通ってたのよ?」
協力って…
チャージ料では売り上げにならないし、こんなに給料がもらえる訳ない。
じゃ、どうやって?
「?」
「君は返さなくて良いと言っても、頑なに返すと言い張って、夜の仕事までする様になったろ?
睡眠時間まで削って?
だから、君の売り上げが良ければ、給料も良くなるし、俺への返済も早まる?」
「だからって…
この金額は…チャージ料だけでは」
「チャージ料だけじゃ無いわよ?
彼は毎日、テーブルチャージ料の他にも、数百万分のお酒のお金も払ってくれてたの」と、ママは言う。
数百万…⁉︎
彼は、いつ病院から呼び出しがかかるか分からないから、飲めはしないが、自宅へ配達してくれる様にママに頼んでいたと言う。
「配達…?」
「頑固者には、それなりの手を打つのが、俺のやり方!」
「頑固者って、随分失礼な事言ってくれるわね?」
「間違ってるか?」
私は首を振り「間違ってない」と言った。
ママ達には、後日御礼に伺うと言って、その日は彼と帰って来た。