過去の精算

大根なら、やっぱりぶり大根かな?

ぶり大根は、亡くなった母も私も大好きだった物の1つだ。
安上がりで、味の染みた大根はなんとも言えない。それだけでご飯が沢山食べれるからだ。

魚屋へ寄ると、威勢の良い声で私を迎えてくれる。

「らっしゃい!
未琴ちゃん、今日は何にする?」

「今、政治おじさんの所で大根買って来たから」

「じゃ、ぶり大根だな?」

魚屋のおじさんは、“ ほらよ!” と、ブリのアラを包んで渡してくれた。

「いくら?」

「良いよ!
政治のところでも、マケて貰ったんだろう?
オレの店が、アラごときで金貰えないだろう?」

「でも…」

「良いんだよ?
この人達はお互い見栄があるんだ、黙って貰っときな!」
奥から顔を出した、おばさんがそう言ってくれる。

八百屋のおじさん(政治さん)と、魚屋のおじさん(勝次さん)は幼馴染みと聞いている。

「じゃ遠慮無く、有難う!
あっ、おじさん? ちゃんと毎日血圧測ってる?」

勝次さんは、一般の人より少し血圧が高めで、数年前から薬を飲んでいるのだ。

「自分の血圧知る事は大事な事よ?
脳出血でも起こしたら大変なんだから!
おばさんの言うこと聞いて、塩分控えてね?」

「もー未琴ちゃんには、かなわねぇなぁ!」




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