過去の精算
「これは男性だな。 骨盤骨折してるな?
これじゃ痛くて、座る事も横になる事も出来なかっただろうな?」
画像には、印がついていて、骨折だと言うことはわかる。
でも…
「この写真だけで、男性か女性かなんて分かるの?」
「ここ骨盤上口、小骨盤の入り口の部分で上から見ると、ここハート形に見えるだろ?
これは男性に多くて、女性は楕円 (だえん) 形なんだ。
でもなんで…こんな物が…?」
「中学へ上がった頃から、私の誕生日に贈られて来た。
ビデオテープと、クラシックコンサートのチケットが2枚一緒に。
送り主は匿名だったから、誰からなのかは分からないけど…」
「…お母さんからは?」
「何も聞かされてない。
でも…母は知ってたと思う。
誰が送っていたか…」
「どうしてそう思う?」
「…はっきりとは分からないけど…
クラシックコンサート観に行く事、すごく楽しみにしてたから…
勿論、母はクラシック音楽好きだったし、私にもピアノ教室へ通わせてたくらいだから…
ひょっとしたら、母が知り合いに頼んでいたかもしれないけど…」
「けど?」
「母が亡くなってからは、チケットだけが送られて来るようになったの…」
「今も?」
「うん。 今も毎年2枚送られてきてる…」
「…コンサートで…誰か知り合いに会ったて事は?」
「ううん…
誰にも会ったことない。
母が一緒の時も、誰かに声を掛けることも掛けられることも無かった」
「・・・・・」
急に無言になってしまった彼に、何かまずい事言ってしまったかと、私は不安になってしまった。