過去の精算

「傘1本しか無いけど、どうしよう?」

「一本有れば良いだろ?
一緒に入れば問題無い」

そうだけど…
誰かに見られたら…

裏の駐車場迄なら、大丈夫かな?
帰りは、どっかで買えばいいっか?

私の傘を前谷君が持ち、彼に肩を抱かれる様にして、一緒に傘をさして裏の駐車場まで向かう。
彼に触れる右側が熱い。抱かれてる左肩が熱い。

「もっとくっつかないと濡れるぞ?」

「う、うん」

私の鼓動の速さが、大きな音が、彼に伝わらない様に間空けてたのに…
もっと雨よ降れ!
この音が彼に聞こえない様に…

「どうした? 顔赤いけど熱でも有るか?」

彼は心配して額を私のモノとくっつけた。

な、なにしてくれるの!?
余計、赤くなるじゃない!

「熱はない様だな?」

「恥ずかしいから、辞めてくれる?
前谷君は慣れてるかも知らないけど、私はそういう事慣れてないんだから!」

「俺だって、慣れて無いし!」

病院で看護師とあんな事しておいて、慣れて無いわけ無いじゃん!

「嘘つき!」

彼を見上げれば、彼の耳が真っ赤になっていた。

え?
前谷君も恥ずかしいの?

「ねぇ、耳、真っ赤だよ? どうして?」

「あのなぁ…」

「なに?」

「頼むから、察してくれよ?」

「察しろって言われても、分かんないものは分かんないの!
だから、聞くんじゃない?」

「いくら処女でも、俺の気持ちくらい分かるだろ?」

処女でもって…
人を馬鹿にするにも程がある。
私だって…すきでこの歳まで、大切に守って来た訳じゃない!

「男の人の気持ちなんて、分かる訳ないでしょ?
体の関係どころか、デートすらした事ないのに!」

「デートならしただろ?」

「誰と?」

「前田としただろ?」




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