過去の精算
はぁ?
あれはデートじゃないって言ったのに!
「前谷君って、以外とちっこい男なんだね?」
「はぁ? 俺が小さい男?」
「だってそうじゃない!
前田先生とはそんな関係じゃ無かったのに、いつまでも気にして馬鹿みたい!」
「仕方ないだろ!
あんな男に先越されたかと思ったら、悔しいし、ヤキモチも焼くだろ?」
「ヤキモチ? 前谷君が? 私に?」
「あゝ!」
「なぜ?」
「なぜって…」
「なぜヤキモチ焼くの?」
「だから、察しろって言ってるだろ?」
「分かんない! 察しろってなにをよ?」
「だから! 男の気持ち分かんなくても、俺の気持ちだけは、分かってくれって言ってるんだ!」
前谷君の気持ち…?
降りしきる雨の中、いつのまにか傘は頭上から、地面へと落ち、私の唇を彼は奪っていた。
ちょっと、ここ外…
外だと分かっているのに、いつのまにか私も彼の気持ちに応えるように、彼の背中へ腕を回していた。
すると、私達の姿を隠すかのように、雨は更に強くなった。
とてもこのまま出かけられる状態ではない。
「俺の気持ち分かってくれた?」
彼の言葉に、私はあえて分からないと首を振った。
「どうして?」
だって…
自信が無いんだもん!
彼に私が釣り合うなんて思えない。
「未琴…」
彼は寂しそうに私の名前を呼ぶと、再びキスをした。まるで自分の想いを私の体へ吹き込む様に。
「前谷君、風邪ひいちゃう。部屋に戻ろう?」
「未琴が、俺の気持ちを分かってくれるまで、入らない。未琴だけ帰ればいい」
「子供みたいなこと言わないで?
お願い家に入って?」
「なんと言われても良い。
今、家に入れば抑えが効かなくなる、未琴を悲しませるくらいから、肺炎にでもなって死んだ方がマシだ!
俺は…子供の頃、未琴が好きだった。
ずっと君の側に居たかった。
あの事を知る迄は…」
あの事?
「未琴、俺は今も君が好きだ!
誰にも渡したく無い」
前谷君…
「ホントに?
ホントに信じて良い?」
彼は信じてくれと言って、私を強く抱きしめた。
「分かった…信じる」