過去の精算
ピザを頼んだ以上、何時迄も裸でいるわけにもいかず、彼にはお風呂に入って貰う事にした。
「そろそろ、お風呂沸いたから、入って?」
「未琴が先に入りな?」
「私は良いから、前谷君が入って?」
「俺より、未琴が入ってこい」
「でも、もうすぐピザが届くのに、裸じゃ…」
私は着替えがあるから、何度も先にお風呂へと言っても、彼は聞き入れてくれなくて、終いには、“ 見せて恥ずかしい体はしてない ” と、訳の分からない事まで言い出しので、私が引き下がる事にして、先にお風呂へ入らせて貰う事にした。
でも…ピザって何処に頼んだのかな…?
この小さな町にはピザの宅配店なんてものは無い。
出前と言ったら、お寿司屋さんかお蕎麦屋さんくらいのもの。
確か、最近になって、隣町に出来たとは聞いたけど、隣町からでも配達してくれるのかな?
聞いた事ないけど?
ん?…来た?
誰だかの話し声、大きな声で笑う前谷君の声も聞こえる。
ピザが届いたのだろうか?
でも、よく恥ずかしく無いよね?
知らない人とは言え、普通裸で出る?
こっちが恥ずかしくなる。
しばらくして、突然浴室のドアが開いた。
っ!?
ドアを開けたのは前谷君だった。
「ど、どうしたの?」
「ついでだから、俺も入る」
「ちょっと待って、今、出るから?」
「別に照れること良いだろ?
さっきまで、一緒に裸だったんだから?」
確かに、さっきまでは裸で抱き合っていた。
でも、それは暖を取る為だったし、一緒にお風呂に入るのとは違う。
彼は、私の思いを察する事なく、半ば強引に湯船の中に入って来た。
(ザザッザー)
彼が入った事で、浴槽から溢れる湯に、“ あっ!” と思わず貧乏性の私は発した。
勿体無い…
「ごめん…勿体無いことしたな?」
え?
彼の金銭感覚に違和感を持っていた私だったが、彼のその言葉に、もしかしたら私達はそんなに違わないのかと思った。
「これから風呂は一緒に入ろうな?
その方が経済的に良いだろ?」
えっ!
そりゃー、経済的かも知れないけど…それは流石に遠慮したい。