独占欲強めの部長に溺愛されてます
空模様が心配なためか、いつも見かけるジョギングの人たちの姿はない。
大小ある池のうち、今夜は小さい方を一周して切り上げようとなり、野々花たちは少し足を速めた。
ところが、まだ大丈夫だろうと甘く見ていた空から、ポツリポツリと雨が降りだした。乾いた地面に水玉模様が広がっていく。気まぐれで降らせているだけではなさそうだ。
「まずいな。いったんあそこで雨宿りしよう。リッキー、行くぞ」
加賀美の声に、リッキーが「ワン」と答える。
本気モードになりそうな雨を避けるべく、野々花たちは途中にあった東屋に逃げ込んだ。
途端にザーッと強くなる雨。空を見上げたリッキーが、悲しげにクーンと鼻を鳴らす。
野々花も同じ心境だった。
「部長、これ使ってください」
ポケットからハンカチを差し出すと、加賀美はそれを受け取って野々花の髪を拭い始めた。
「あ、いえっ、私は大丈夫ですから」
「そうはいくか。風邪をひかせるわけにはいかないよ」