独占欲強めの部長に溺愛されてます
「あ、加賀美部長!」
打ち合わせで席を外していた加賀美が戻ると、瑠璃はそのスマートフォンを持って彼の元へ向かった。
「部長、昨日一緒に歩いていた女性って恋人ですよね? 私、見ちゃったんです。ほら、これです」
「え?」
驚いたようにスマートフォンを覗き込む加賀美。彼の答えを聞きたくなくて、野々花は「お先に失礼します」とその場から離れた。
マーケティング部を出た野々花が向かったのは、このところご無沙汰になっていた備品庫だった。
午後七時近く。誰もいない真っ暗なその部屋に入り、窓辺に立つ。
嫌味なくらいに煌びやかな光を帯びたビル群が、今日は目にとても痛い。
加賀美が野々花をなんとも想っていないのはわかっていたはずなのに、いざ恋人の存在を突きつけられると苦しくなる。
備品庫で奇声を聞かれた時点で失恋は確定していたのだから、今さら傷つく必要はない。
そう言い聞かせても、胸の痛みは消えてくれなかった。