独占欲強めの部長に溺愛されてます
駅前にあるならまだしも、わたせキッチンは歩いて十分はかかる。さらにその道を駅まで引き返して野々花のアパートまでくれば、ざっと三十分はかかったはず。
加賀美は「大した距離じゃない」と言うが、かなりの距離だ。
「すみませんでした……」
申し訳ない気持ちでいっぱいになり、頭を深く下げる。
「いいから、とにかく食おう」
加賀美が上にかぶせてあった包みをはがして弁当のふたを開けると、デミグラスソースのいい香りがした。ハンバーグだ。
その途端、野々花のお腹が再びぐぅと鳴る。
「あはは。腹は正直だな」
声をたてて笑われ、恥ずかしさに背中を小さく丸めた。
(もうっ、本当に勘弁して……!)
いったいどれだけ醜態をさらせばいいのか。