独占欲強めの部長に溺愛されてます

加賀美にはことごとく酷い場面ばかり見られ、聞かれ、もうこれ以上恥ずかしいことはないように思えるくらいだ。

いくら諦めた恋だからとはいえ、今すぐこの場から消えてなくなりたい。


「……あの、お茶を淹れてきます」


せめてワンクッションおきたいと、いい用事を思いついて立ち上がった。

なるべく時間を稼いで頬の赤みが消えてからと思うものの、電気ケトルはものの二分と経たないうちにお湯を沸かし終えた。

わざとらしくゆっくりお茶を注ごうかとも考えたが、それでのろまな女だと思われたくない。スピーディーに淹れ終え、テーブルに戻った。


「どうぞ」
「ありがとう」


加賀美に倣って弁当のふたを開ける。今度は騒がないでねとお腹に念を送った効果か、なんとか音を鳴らさずに済んだ。

(それにしても、本当においしそう)

湯気こそ立っていないが、まだ温かい。

< 72 / 130 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop