おじさんは予防線にはなりません
「……じゃあ……さっきの……続きからね」

私が椅子に座ると、本多課長は何事もなかったかのように中断された続きから説明をはじめた。
続きはいいけど、さっきのことについてなにも説明はないのかな。

「……これの処理は……これでいいから……後のも処理……しといてくれるかな……?」

「はい」

私が頷くと、本多課長は背中を丸めて自分の席へと戻っていった。
ひとりになって一度、大きく息を吐き出して深呼吸し、残りの書類を処理していく。

「おう。
頑張ってるな」

聞こえた声に手を止める。
私にかまわずに眼鏡の男性社員は、隣の空いた椅子へ後ろ向きに座った。

「少しは慣れたか」

彼はごそごそとスーツのポケットの中からパインアメを出し、包みを開けてぽいっと口の中に放り込んだ。
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