おじさんは予防線にはなりません
「で、でも。
池松さんは私の気持ちを知らないんですし……」

ほんとは池松さんは知っている、私の気持ち。
だからこそ、池松さんの中で私と宗正さんが付き合っているって確定されて、ほっとした顔をしていた。

「それも酷いって!
オレだってすぐ、詩乃が池松係長が好きだって気づいたのに。
ああいう無自覚が一番罪が重いんだよ。
今日だって詩乃をランチに誘おうとしてさ!」

ざくっ、いい音をさせて乱暴にエビフライに噛みついた宗正さんだけど、失礼ながらミニチュアダックスが黒ラブに歯を剥き出しにして威嚇しているようにしか見えなくて、かえって微笑ましい。

「……ぷっ」

「なーに笑ってんの?」

ジト目で睨まれ一瞬笑いも引っ込むが、やっぱりミニチュアダックスにしか見えないから無理。

「ふふふっ、だって私じゃなくて、ふふっ、宗正さんが真剣に、ふふふっ、怒ってくれるから」
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