おじさんは予防線にはなりません
――大河が。

この旅行に勝負をかけているのはわかっている。
だから私も……そのつもり、だった。


大きな湖を中心に広がる温泉地に入ると、大河は適当な駐車場に車を預けた。

「眼鏡はかけていこーっと」

私と手を繋いで顔をのぞき込み、眼鏡の奥で大河はにっこりといたずらっぽく笑った。
その笑顔にやっぱり、胸がドキドキする。
私は眼鏡フェチじゃないはずだけど……でもこれは、これでいいんだ、きっと。

事前に予約をしていたのか、お昼は湖の畔の、カジュアルフレンチレストランだった。
窓からは湖が見渡せて気持ちいい。

「今日の詩乃、可愛い」

「そ、そうかな」

黒チェックのフレアスカートに白のカットソーを合わせただけなんだけど、大河は嬉しそうに笑っている。
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