おじさんは予防線にはなりません
くねくねと曲がりくねった道を登り森を抜けると、大きな旅館に出た。

「今日、泊まるのはここ」

いいよって断ったのに、私の荷物も持っている大河に付いて旅館に入る。
ロビーだけでも気後れするほど立派なのに、案内された部屋は広くてきれいで、いろいろ心配になってくる。

「大河、無理してない?」

「無理ってなに?」

追求を許さないようににっこりと笑われ、黙るしかない。

「ほら見て、詩乃。
きれいだよー」

促されて窓辺に行く。
窓の外には遠く、さっきの湖が見えた。
さらには湖を取り囲むように緑の山も見えてきれいだ。

「寒い季節になったらね、ここから雲海が見えるんだって。
……いつか、詩乃と一緒に見たいな」

後ろから包み込むように立った大河の手が私の手に重なる。
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