おじさんは予防線にはなりません
決めてきたのだ、ちゃんと。
だからさっき、自分から目を閉じた。
なのに。

――羽坂。

サーモントブローの奥で、目尻をくしゃっとさせて笑う池松さんの顔がよぎる。

「ううん。
いいんだよ、それで」

迷いを追い出すようにあたまを振り、ばしっと思いっきり、頬を叩いた。


食事のときはなにを話したかよく覚えていない。
ただ、緊張を隠すように無理にはしゃいだ。
きっと大河も、気づいていたと思う。

部屋で、ふたつ並んだ布団に一気に口数が少なくなる。

「もうちょっと、飲む?
ビール、買ってくるけど」

黙って浴衣の袖を引き小さく首を振る。
大河は浮かしかけた腰を元に戻した。
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