おじさんは予防線にはなりません
「なに百面相やってるんだ?」

いつものように後ろ向きに座った椅子の背もたれに両腕を乗せ、にやにや笑っている池松さんにはムッとはするが、別に嫌ではない。

「見てたんなら早く声、かけてくださいよ……」

じっと見られていたなんて、変な顔をしていたんじゃないかと恥ずかしくなってくる。

「だって羽坂、じーっと考え込んでて俺に気づかないんだもん」

「……」

ううっ、自分の世界に入りすぎて池松さんに気づかないなんて恥ずかしすぎる……。

「それで君、……なにやってるんだ?」

眼鏡の下の眉を寄せた池松さんから、潜った机の下をのぞき込まれた。

「穴を掘って埋まりたいですが、穴は掘れないので机の下に……」
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