おじさんは予防線にはなりません
おそるおそる見上げた大河の顔からは一切の感情が消えていた。

「さっき、池松係長と一緒に出勤してきたの、見たよ。
……寝たの、池松係長と」

「……」

池松さんとはそういう関係にはなっていない。
ベッドすら、別だった。
だけどキスをした事実が後ろめたく、大河へ上手く説明ができない。

「わかってる?
あの人はそういう関係になっちゃいけない人だって」

「……」

酔っていたとはいえ、好きだとキスした。
これはもう、大河に責められても仕方がない。

「ねえ、なんでさっきから黙ってるの?」

するり、大河の壁についていない方の手が、私の頬を撫でる。

「やっぱり詩乃、無理矢理オレのものにするしかないのかな……」
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