おじさんは予防線にはなりません
退社の日は一日、一日と近づいてくる。
池松さんは私が辞めることについて特になにも言わなかった。
もしかしたらほっとしているのかもしれない。

「コピー、詰まった。
どうにかして」

高圧的に村田さんが見下ろしてくる。
その姿にはぁっと小さく、ため息をついた。

「なによ、そのため息」

生意気だ、とばかりに睨まれたが、気にせずに勢いよく立ち上がる。

「よっぽど忙しいんじゃないならコピー機のトラブルくらい、ご自分で解決してください。
派遣はあなた方の小間使いじゃないんです」

しーん、辺りが静まりかえる。
誰ひとり微動だにしない中、村田さんだけはぷるぷると小さく震えていた。

「なによ、その口のきき方!」

村田さんの手が振り上がる。

――バシッ。
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