おじさんは予防線にはなりません
痛そうな音が響き、村田さんはその場に蹲った。

「おとなしく叩かれるなんて思わないでくださいね」

振り下ろされた村田さんの手は、私がガードしたファイルによって阻まれた。
固い表紙を思いっきり叩けば、それは痛いだろう。

「……ううっ」

小さく呻きながらコピー機に行き、村田さんはごそごそしだした。
それを無視して仕事を再開する。
周囲はまだ、こちらをうかがっているようだった。

「……どうやったらいいのかとか、わかんない」

ぐすっ、小さく村田さんの泣き声が聞こえてきて、はぁっとため息をついて立ち上がる。

「やって差し上げましょうか」

「お願い……します」

カバーを開けて詰まっている紙を取れってメッセージが出ているのに、それすらわからないなんていままでこの人は、なにをやっていたのだろう?
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