おじさんは予防線にはなりません
いや、こうやって派遣に威張り散らしていたから、こうなったんだろうけど。

詰まった紙を取り、すぐにコピー機は正常に動きはじめた。

「皆さんも忙しいと思いますが、派遣だって忙しいんです。
雑用を全部、派遣に押しつけないでください。
これは、私からのお願いです」

くるっと振り返り、事務所の人間に向かってあたまを下げる。
ほとんどの人間がばつが悪そうに目を逸らした。

「羽坂が言うことはもっともだ。
自分でできることは自分でやれ」

池松さんの声で、ますますみんなの肩が小さくまるまる。

もう辞めるからこそ、やっとはっきり言えた。
これで私のあとに来る人が、少しでもいい環境で仕事ができるようになったらいい。



あっという間に半月は過ぎ、――退職の日が、やってきた。

「半年と短い間でしたが、お世話になりました」

起きるまばらな拍手に苦笑いしかできない。
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