おじさんは予防線にはなりません
池松さんはそう言っているけれど、次の日が休みだろうと仕事だろうと、家に行った日は絶対泊まる。
ただ、なにか理由をつけないと、池松さんの気持ちに折り合いがつかないから。

「羽坂」

私の上から、池松さんが見下ろす。
いいですよと自分から唇を重ねた。
これも、――池松さんの気持ちを、楽にするため。

いまだに池松さんは私に、好きだとか愛しているだとかは言ってくれない。
でも最中に私の名前を呼んでくれる。

池松さんの気持ちの整理がつくまで、いつまででも待とうと思った。

でも――そんなことを言っていられない事態になった。



「妊娠五週目です」

「え……」

医師の言葉に自分の耳を疑う。
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