おじさんは予防線にはなりません
いや、なんでうんうんって頷いているんですか?
もしかしてこういうのが好み?
なら無理にイメチェンしなくても……違う、違う。
別に、池松さんの好みがどうとかは問題じゃない。

「あの、ここじゃこの格好、ちょっと浮いてるかな、って」

ブラウスにフレアスカートってオフィスファッションの見本、みたいな格好はここでは私を目立たせていてずっと気になっていた。

「無理に合わせる必要はないと思うぞ。
羽坂は羽坂が着たい服を着ればいい」

池松さんの、眼鏡の下の眉根が寄る。
そういう気遣いは嬉しい、が。

「無理に合わせるとかじゃなくて、たまにはちょっと、冒険してみたいんですよ」

正直に言うと、ここの女性たちが羨ましくもあるのだ。
みんな、自分の着たい服を着たいように着ている。

一方で私は、服を選ぶときにどこか、人の目を気にしていたと思う。
こんな服を着たら遊んでいると思われないかなとか、不真面目に見えないかなとか。
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